書籍

労働生産性で見落とされていること

 

 OECDデータに基づく2019年の日本の時間当たり労働生産性の順位はOECD加盟37カ国中21位。主要先進7カ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いている。(引用元「公益財団法人日本生産性本部)

 あなたも日本人の労働生産性の低さを指摘する報道を聞くたび「社内の無駄な会議が・・・」「日本のシステムが・・・」といった議論を聞いたことがあるかもしれません。

 しかし今回ご紹介する書籍『キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編』(角川書籍)の著者井上純一氏はもっと根本的な問題を指摘しておられます。

 それは、

消費が上がらないと生産性は上がりません

ということです。

 

この書籍は以下のような方にお勧めです

・経済学をわかりやすく解説してくれる書籍をお探しの方

キミのお金はどこに消えるのか

角川書店ホームページ_書籍紹介ページより

著者概略

井上純一(いのうえじゅんいち)

TRPGデザイナー。漫画家。玩具会社「銀十字社」代表取締役。代表作:スタンダードRPGシリーズ(SRS) 『アルシャードセイヴァ―RPG』『エンゼルキア天使大戦TRPG 2nd Edithion』『天羅WAR』他。著作に『中国嫁日記』『中学工場の琴音ちゃん』等がある。

 この書籍が発行されたのは消費税が10%に増税される直前の2019年8月28日。私がこの書籍を購入したのは2019年暮れですが『キミのお金はどこに消えるのか』と合わせてシリーズ累計7万部を突破しています。

 内容は漫画のキャラクターに扮する著者の井上氏が、同じく登場人物で奥さんである中国人女性の月(ユエ)さんに経済学を分かりやすく説いていきながら展開していきますが、自分たちの生活に直結する問題にしか関心がない月さんが時には問題の核心を鋭く突いて井上さんをドギマギさせることもあったりして面白いです。

生産性の定義

 井上氏が語る本題に入る前に、ここで生産性の定義を確認しておきます。

生産性の定義

 生産性の代表的な定義は「生産性とは、生産諸要素の有効利用の度合いである」(ヨーロッパ生産性本部)というものです。

 有形のものであっても無形のものであっても、何かを生産する場合には、機械設備や土地、建物、エネルギー、さらには原材料などが必要になります。また実際これらの設備を操作する人間も欠くことができません。生産を行うために必要となるこれらのものを生産要素といいますが、生産性とはこのような生産要素を投入することによって得られる産出物(製品・サービスなどの生産物/産出)との相対的な割合のことを言います。

式で表せば、以下のようになります。

生産性=産出(output)/投入(input)

 つまり、生産性とは、あるモノを作るにあたり、生産諸要素がどれだけ効果的に使われたかということであって、それを割合で示したものが生産性ということになります。例えば、最先端の工作機械を導入したとしても、それを操作する人が未熟であったり、操作ミスをしてしまったりすると、工作機械はうまく作動せず、故障を起こしてしまうこともあります。このような場合、生産諸要素の有効利用度が低い、つまり生産性が低いということになります。

生産性の種類

 生産性は、それぞれの生産要素の視点から捉えることができます。労働の視点からであれば労働の生産性(労働生産性)、資本の視点からであれば資本の生産性(資本生産性)となります。さらに、投入した生産要素すべてに対して算出がどれくらい生み出されたかを示す指標として全要素生産性があります。

 こうした生産性の種類の中でよく用いられるのが労働の視点からみた生産性、すなわち労働生産性です。労働生産性は「労働投入量1単位当たりの産出量・産出額」として表され、労働者1人当たり、あるいは労働1時間当たりどれだけ成果を生み出したかを示すものです。「労働生産性が向上する」ということは、同じ労働量でより多くの生産物をつくりだしたか、より少ない労働力でこれまでと同じ量の生産物をつくりだしたことを意味します。

引用元「公益財団法人日本生産本部」

消費が上がらないと生産性は上がりません

 さて今回の記事にの本題に入ります。

 著者の井上氏がこの書籍の中で言っている生産性とは労働生産性のことであり、この書籍の79ページ以降最後の158ページまで埋めていいとまで言い切っておられるのが「消費が上がらないと生産性は上がりません」という、生産性の本質です。

 井上氏は著書の中で簡潔にその理由を解説しておられるので引用させていただきました。

生産しても消費してくれる人がいないと生産性は上がらない。

従業員の給料を削れば贅沢をしなくなり、従業員を同じ給料でたくさん働かせると疲弊して休日は家に休んで消費しない。みんなが消費をしなくなるとお店は粗利(生産性)も小さくなる。

(中略)

買う人たちがお金がなくてとにかく安いものが欲しいなら企業は高品質を目指さず手を抜いて安くしようとするよね?

買う人たちは質の高いものには高い金を払う‼という常識がなければ企業は高品質を目指さないのです。儲からないから。

日本企業の国際競争力を強化したいなら日本人みんながよりお金を使えるようにする必要があるのです。

著者の解説を引用または要約

低価格競争は経済も人も疲弊させる

 私の実体験からお話しますと、2012年に発足したフランソワ・オランド大統領の社会党による緊縮財政が行われ、ユーロ不況のあおりも受けて毎日のように大企業やグループ企業のリストラや事業縮小のニュースが飛び込んでくるようになり、同氏の任期中の5年間は550万人とも600万人ともいわれる失業者を出した暗黒時代。

 多くのスーパーや商店は顧客を逃さないように年中何らかの名目でバーゲンセールを行ない、たとえ品質が良くても高いものは悪という風潮になり、テレビやラジオのCMに釣られて人々が「最低価格、最低価格」と憑りつかれたかのように呟いていた時期であり、結局年中バーゲンセールとなった2012年は多くの店は前年に比べ売り上げを落としていた。

 売上が下がるものの無収入になるよりはマシと考えて私たちの工房も値下げを強行しても、それ以上に値下げを要求する人が出てきたり、私たちが属する業界の商品をどこで安く買えるかなどという質問をしてくる人が堂々と出てくる始末。

「トウモロコシの缶詰を他社より10サンチーム(約10数円)安く売ることに何の価値があるんでしょうか?そのために生じた私たちの心の痛みは報われるのでしょうか?」

 過剰な低価格競争で疲弊していた労働者を取材したドキュメンタリー番組に出演したスーパーマーケットに勤務する女性の言葉が物語るように、この時期は職場環境の悪化により精神疾患を訴える人が急増

 低価格競争は経済も人も疲弊させるということを私は学びました。

結論

消費が上がらないと生産性は上がりません

日本企業の国際競争力を強化したいなら日本人みんながよりお金を使えるようにする必要がある

他にも興味深い内容がたっぷり

 個人的には全編が読み応えのたっぷりの書籍ですが、その中からいくつかの章のタイトルをご紹介いたします。特筆すべきは日本の財政破綻論が嘘であることであり、それは言葉のカラクリであることを同著で学べます。この点をだけでもこの書籍はその値段以上の価値があります。

その他興味深い内容

・給料を上げる方法を考える

・世界は失笑⁉日本の経済政策

日本は将来必ず財政破綻する

・なぜ消費税はなくならないのか

・お金で豊かになる方法とは


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モーリス

ABOUT ME
Maurice1974
20代で渡仏、40代前半に帰国。2021年、経済的自由獲得を目指して投資の勉強と副業としてブログを始める。 2019年、DELF B1(仏検2級相当)取得。現在TOEIC Listening&Reading勉強中。 目標は”自分の天職探し”。 フランス語、スランスの生活、自身の目標を追いながら役立った情報をお伝えします。

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