フランス語の母音・子音と発音記号
日本語には母音が5個、子音が13個あります。
それに対して、フランス語には母音16個、子音17個、そして母音が二つ続いた場合の半母音と呼ばれるものが3個あります。
それらの母音や子音は、 i 、ɛ 、 ɔ、 ø、ɥ、 ʃ 、 などの記号で表され、辞書や単語帳に書かれている単語の発音の仕方を理解するための記号が表せています。
今回のフランス語講座は、
- アルファべの発音を表す母音、半母音、子音の種類
- それぞれの記号の表記
- それに対応する口の形、舌の位置、発音
これらを解説していきます。
母音(voyelle [ヴォワイエル])
フランス語の母音は
1. 口腔母音十二個
2. 鼻母音4個
から構成されています。
各母音を発する際、口の開き(狭い↔広い)、唇の形(狭い↔広い)、唇の形(平↔円)、舌の位置(前↔後)3点を基準に口腔母音十二個、鼻母音4個を配置すると以下のような台形で表されます。
1.口腔母音(voyelle orale [ヴォワイエル オらール])
1.前舌母音 [i][e][ɛ][a]
[i]:日本語の[イ]の形に近いですが、両方の唇を強く両側に引っ張り、唇の形を思いきり平らにかつ狭めて発音します。高く鋭く聞こえる発音です。
[e]:日本語の「エ」に近いですが、[e]は「エ」よりもさらに両側に唇を外側に引っ張り、唇を平らにします。高く聞こえる発音です。
[ɛ] :「エ」よりも少し口を開いて、唇を少し円形にして発音します。
[a]:日本語の「ア」と同様に発音してもコミニケーション上問題はありません。
2.後舌母音 [u][o][ɔ][ɑ]
[u]: 日本語の「ウ」よりもさらに唇をすぼめて思いきり前に突き出して、舌を奥の方へ引っ張って発音します。低くやや長めに聞こえます。この母音は日本語の「ウ」のように発音すると通じないので、正しくフランス語の[u]の発音ができるように練習する必要があります。
[o] :日本語の「オ」よりもさらに唇をすぼめて前に突き出し、舌を奥の方へ引っ張って発音します。
[ɔ] : 日本語の「オ」よりも多少口を開き、唇を丸めにして発音します。
[ɑ] :日本語の「ア」よりもさらに口を開き、唇を丸くして、舌を奥に置いて発音しますが、この [ɑ]と上記の[a]は区別が消えつつあるので、両者とも[a]で発音してもコミニケーション上はあまり問題はありません。
3. 複合母音 [y][ø][œ][ə]
[y] :舌の位置は[i]を発音する時のように前に保ち、唇の方は[u]を発音する時のように思い切りすぼめて前に突き出します。発音は高く鋭く聞こえます。日本語の「ユ」とは異なる音であることに注意して練習しなければなりません。
[ø] :舌の位置は[e]で唇の位置は[o]を発音します。
[œ] :舌の位置は[ɛ]で唇の形は [ɔ]で発音します。日本語の「ウ」と「ア」の中間の音に聞こえますが、より高く聞こえます。
[ə] :口全体の筋肉の力を弛緩した状態で発音します。日本語の「ウ」に近い発音です。
4. 鼻母音(voyelle nasale [ヴォワイエル ナザル])
鼻から息を抜きながら発音する母音を鼻母音と言い、上の画像のように [ɑ] [ɛ] [o] [œ] の4種類のそれぞれの発音記号に「~」を載せた形で表記されます。ただし、日本語のキーボードにフランス語をインストールしてもこの鼻母音に変換することはできません。
鼻から息を抜きながら、口を大きく開き、唇くして舌を奥に引いて発音する。つまり [ɑ] の発音はそのままに鼻母音化するだけです。
[ɛ] よりももう少し口を大きく開き、唇を円くし、鼻から息を抜きながら発音します。
[ɔ] よりも[o]に近い状態で、鼻から息を抜いて発音します。[o]に「~」で表記される場合もあります。
[œ] を鼻音化した音です。ただし、 [œ] と「~」から [ɛ] と「~」に置き換わる傾向も見られます。
2.半母音(semi-voyelle)
母音台形の最上段に位置する[i][y][u]を息の通路をさらに狭めて発音します。半子音とも呼ばれます。
[j]:[i]に対応します。<[i]+母音>という音声環境で<[j]+母音>になる場合と、語末に来る場合があります。
例:pied [pje][ピエ][男] 足
:hier [jɛr] [イエーる] 昨日
[ɥ]:<[y]+母音>という音声環境で半母音化します。
例:huit [ɥit] [ユイット] 数字の8
:nuage [nɥaʒ] [ニュアージュ][男] 雲
[w]:<[u]+母音>という音声環境で半母音化します。
例:oui [wi] [ウイ] はい
:jouer [ʒwe] [ジュエ] [動詞] 遊ぶ、(スポーツなどを)プレイする
3. 子音(consonne [コンソンヌ])
フランス語は次の17個の子音を持ちます。
1. 破裂音 ‐ 無声:[p][t][k]
– 有声(濁音):[b][d][g]
2. 摩擦音 – 無声:[f][ʃ][s]
– 有声(濁音):[v][ʒ][z]
3. 鼻音:[m][n][ɲ]
4. 流音:[l][r]
1. 破裂音
[p][b]:唇の両端を固く閉じ、破裂をさせるように強く息を出します。日本語の「プ」「ブ」と発音します。
例:Paris [pari][パリ] パリ
:bonnet [bɔnɛ] [ボネ] [男] 縁なし帽
[t][d]:舌先を上の前歯の裏に押し当てて息を通します。
例:table [tabl][ターブル] テーブル
:dîner [dine][ディネ] [男] 夕食
[k][g]:発音は日本語の「ク」「グ」に近いです。
例:collège [kɔlɛʒ][コレージュ] [男」中学校
:gare [gar][ギャーる] [女] 駅
2. 摩擦音
[f][v]:上の前歯を下唇の内側に当てて擦るように発音します。[v]と[b]は明確に区別しなければいけません。
例 : voir [vwar][ヴォワーる] [動] 見る、会う
:boire [bwar] [ボワーる] [動] 飲む
[s][z]:[s]は日本語の「ス」に近い発音です。ただし、[si]は日本語の「シ」([ʃi]に近い)にならないように注意しましょう。[Z]は日本語のザ行の発音のように舌先の上の歯茎に近くにつけないようにくれぐれも注意する必要があります。
例 : souce [sos][ソース] [女] (料理の)ソース
:zéro [zero] [ゼロ] [名] (数字の)ゼロ
[ʃ] [ʒ]:[ʃ] は、日本語の「シュ」よりも口をすぼめて前に突き出して発音します。 [ʒ]は、日本語の「ジャ」「ジュ」「シュイ」のように、舌先を上の歯茎に付けないように注意しましょう。[ʃ][ʒ]はいずれも舌先は上の歯茎から離れて浮いたままの状態で保ちます。
例 : chou [ʃu][シュ―] [男] キャベツ
:jaune [ʒon] [ジョーヌ] [形/名] 黄色の、黄色
3. 鼻音
[m]:発音は日本語の「ム」に近いです。
例 : matière [matjɛr][マティエーる] [女] 材料
[n]:発音は日本語の「ヌ」に近いです。
例 : nord [nɔr][ノーる] [男] 北(方角)
[ɲ] : 舌先を下の前歯の裏につけて、舌の中央部を持ち上げて上顎につけるようにして発音します。
例 : gagner [gaɲe ][ガニェ] [動] 勝つ、獲得する
4.流音
[l]:舌先を上の前歯の裏に付けて、舌の両脇より息を抜き舌先を離して発音します。
例 : livre [livr][リーヴる] [男] 本、書籍
[r]:舌先は下顎の裏に着けて、口の形は「エ」の形にして、舌の根本で喉を狭め、喉をゴロゴロと鳴らしながら息を押しだし、喉の奥で「ㇷ」と発音します。
例 : reine [rɛn][れンヌ] [女] 女王
「r」の発音に関しては下の過去記事で詳しく解説しております。
まとめ
日本語とは違い、フランス語には母音の種類が多く、また日本語には存在しないような発音方法もたくさんあります。
最初は発音を使い分けることは難しく、発音記号の読み方も複雑に思われるかもしれません。
ですが、使い分けられるようになると、辞書や単語帳などで単語を見たときに単語の読み方が理解できるようになります。
そしてこれが理解できれば、フランス人が発するフランス語の発音が分かるようになります。
・母音には口腔母音には、舌を前の方に置く「前舌母音 i、e、ɛ、a」と、舌を後方に置く「後舌母音 u、o、ɔ、ɑ」がある。
・複合母音 とは、「複数の母音を組み合わせた発音 y、ø、œ、ɜ」である。
・鼻母音は、「発音するときに軽く鼻に息を通して」発音する。
・半母音 は、それぞれの「母音 i、y、u の後に母音を足す発音」をする。
・子音には、「破裂音:無声 p、t、k、有声(濁音) b、d、g」「摩擦音 無声:f、ʃ、s、有声(濁音):v、ʒ、z」「鼻音:m、n、ɲ」「流音:l、r」という種類がある。
それではまた次回にお会いしましょう。
Au revoir.
À bientôt.
À la prochaine.
↓今回のフランス語講座がお役に立てたようでしたら、下のバナーをクリックしていただけますよう宜しくお願いします。
にほんブログ村
【人生を好転させましょう】
モーリス